最 近、ニュースなどでよく聞かれる「墓じまい」。ここ数年でできた造語です。
昔は子供が財産や墓を継ぐことが当たり前でしたが、今はその「家」の承継の形は都会を中心に崩れつつあり、核家族や生涯独身者など単身世帯も増えて、 「家族は一代」と考える夫婦や 「自分のお墓」を探す人も出てきました。しかしながら、先祖とのつながり思う気持ちが全くなくなることはないでしょう。
そこで登場したのが「墓じまい」。現在の住まいから遠方に あるお墓を更地にして近場の新しい墓地に統合したり、既に埋葬されているご遺骨をすべて永代供養墓に入れて家単位の墓を求めないなど、様々な方法があります。
しかしながら、自分一人で結論を出すのが難しいのが「墓じまい」です。自分が生まれてくるにあたり、七代さかのぼれば先祖は、なんと254人。たとえ、毎日顔を合わせる家族が3人であったとしても、墓は親戚を含め、自分以外にもお参りする人がいるのです。「墓じまい」する前にまずは血縁者と話し合いが必要になるでしょう。
その際に考えなければならないことが三つあります。
1つ目は、今のお墓があるお寺のこと。
2つ目は、今のお墓がなくなったあとの供養について。
3つ目は、これらにかかる費用が幾らくらいなのか。
円満な「墓じまい」をするためには、今までお世話になったお寺には必ず相談するようにしましょう。そして、関係する人たちの気持ちを大切に扱ってこそ「墓じまいした」と言えるのです。
出典:仏教を楽しむ情報誌「わげんせ」
イラスト:砂山恵美子